【学べる内容】ヴィオラ・ダ・ガンバについて

あまり知られていないけど、実は取り組みやすく、子どもからシニアまで取り組みやすい楽器、ヴィオラ・ダ・ガンバ。
幽玄で甘美な響き。マイナーな楽器なので、弾けるようになったら演奏の機会もたくさん!?

普通の音楽教室と異なる点についてもいくつかお伝えしていきます!

ヴィオラ・ダ・ガンバってどんな楽器?歴史や起源も解説

画像もいっぱいあって長いです。下記、ご興味のある方はクリックしてご覧ください!

ヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバの違い

ヴィオラ・ダ・ガンバはこんにちの「ヴィオラ」とは異なり、足に挟んで弾く楽器です。
かつてのイタリア語圏では足に挟んで(のせて)弾く弦楽器全般を「ヴィオラ・ダ・ガンバ」、腕の上に乗せて弾く弦楽器全般を「ヴィオラ・ダ・ブラッチョ」と読んでいました。単に「ヴィオラ」という場合、「〜ブラッチョ」の方の楽器になります。

ヴィオラの例(バロック期の絵画)。真ん中の音楽家二人が弾いているのがヴィオラ

The Concert (detail) by Antonio Domenico Gabbiani. Berlin, Archiv für Kunst und Geschichte. 

ヴィオラ・ダ・ガンバの例。コンソートで演奏する少年合奏団と推測される。

Viol Consort. anon French c.1625

ヴィオラ・ダ・ガンバの外見・ルーツ

ヴィオラ・ダ・ガンバはモンゴルの馬頭琴など、縦に構えて弓で演奏するにルーツを持つ、かつて西ヨーロッパを中心に演奏されていた楽器です。
ヴィオラ・ダ・ガンバの名残は、同じなで肩の形状のコントラバスにも見られます。

ヴィオラ・ダ・ガンバとアンリエッタ夫人(フランス国王ルイ15世と王妃マリー・レクザンスカの第2王女)

Madame Henriette playing the Viola da Gamba by Jean-Marc Nattier, Chambre de Madame Victoire au Château de Versailles

19世紀のコントラバスの巨匠、ボッテジーニとコントラバス(テストーレ作)

Eines der bekanntesten Porträts des Musikers, in geringerer Qualität z.B. auch zu finden auf der ihm gewidmeten Hommage-Website http://www.gbottesini.com/

座って演奏する楽器で、ギターなどのようにフレットがついていますが、インド楽器、シタールのフレットのように動かして、調律を変えることができます。
弦には羊の腸を細くよって作られた「ガット弦」が使われています。テニスラケットの「ガット」と同じ語源です。

サイズはリコーダーのように、ソプラノからバスまで様々。
ヴァイオリンやチェロのように体格に合わせた楽器を選んで使うことができます。

ヴィオラ・ダ・ガンバの歴史(世界史)

中世ヨーロッパでは、当時強大な国だったオスマン・トルコとの戦いがあり、ヨーロッパからは十字軍と呼ばれる軍隊が派遣され、略奪も行っていました。
その際に持ち帰ってきたイスラム圏の楽器がヨーロッパの楽器の元となりましたが、その中でも「ラバーブ」と呼ばれる弓で弾く楽器がヴィオラ・ダ・ガンバの元となったのではないかという説があります。

イスラム圏の「ラバーブ」という呼び名の楽器はいろいろあるようです。
Example of an Iraqi spike fiddle instrument, wikipedia “Rabab”, public domain

十字軍のエルサレム攻囲戦
Ökumenisches Heiligenlexikon; Quelle dort: “Miniatur aus dem 13. Jahrhundert: Belagerung und Eroberung von Jerusalem, in der Bibliothèque Nationale in Paris” Guillaume de Tyr, Historia, BNF ms FR 352 fol. 62″

その後、王族、貴族やキリスト教の神職など、当時の特権階級によってもてはやされ、「ガンバ・コンソート」と呼ばれる合奏形式での演奏がルネサンス期に花開きました。
その後、マラン・マレなどの名手により、ソロの楽器としての可能性も広げられました。

イギリスのルネサンス期の作曲家、ギボンズによる6声のためのファンシー
(L’Achéron – Orlando Gibbons, Fancy for six viols)
マラン・マレの独奏曲「人の声」
(Marin Marais: Les Voix humaines / Petr Wagner)

日本では織田信長から豊臣秀吉にかけての時代、日本から派遣された天正遣欧少年使節が楽器の演奏技術を習得して、ヴィオラ・ダ・ガンバの元となったと楽器を秀吉の前で披露した可能性があることが記録で残っています。

出島にあったオランダ商館の絵画と思われるもの。左上にはヴィオラ・ダ・ガンバと思われる楽器が描かれている。

Reproduction (c.1800) after Watanabe Shuseki (1639-1707): “Hand-scroll depicting the Dutch factory at Dejima”, c.1697-1707 (detail).

その後、演奏における文化の変化とフランス革命による貴族のシンボルの打ち倒しなどが重なり、ヴィオラ・ダ・ガンバは姿を消しました。
戦後、デビッド・マンロウなどの音楽家・研究者による古楽の復興活動により、現代でも演奏や研究などが行われるようになりました。

現代ではバンドの中で演奏されたり、ジャズで演奏されたり、現代音楽でも使われています。
音工房〇の主催者もバンドやソロでの演奏で使用しています。

現在は解散してしまったチリのジャズグループ「Aguafuerte Acústico」の演奏
Aguafuerte Acústico – Falss
リュート奏者・作曲家のLee Santanaによる現代曲
Lee Santana: Music for Viols – Chaconne
音工房〇の主宰が参加していたバンド「Margaret Maggie」。「錆びついた機械文明」はアプリ「パズル&ドラゴンズ」CM曲にもなりました
福井陽介(magi.)による初期バロック期の作曲家、De Machyのヴィオル曲集の演奏抜粋
坂本龍一作曲、イギリスのヴァイオル・コンソート「fretwork」演奏の曲「hwit」。

音工房〇でのヴィオラ・ダ・ガンバを学ぶメリット

フレットがあるから、音程がとりやすい!

フレットがあるため、ヴァイオリンなどと比べると音程が取りやすいです。
演奏中に音を外す恐怖と戦う必要性が、ちょっと下がります笑

ガット弦はやわらかくて、感触もいい

ざらっとした独特の質感のガット弦。やわらかく、スチールの合成弦と比べると抑えやすいです。
触ることで、感じるあたたかみのようなものもあると思います。

日本民謡とも相性がいいし、カンタン!

実は日本民謡とも相性が良いと考えています。
私自身、薩摩琵琶の演奏家の方とのコラボレーションも行っていました。

ゲーム音楽を演奏しても楽しい!

ドラゴンクエスト(R)やファイナルファンタジー(R)など、多くのゲーム音楽には昔の音楽の様式を使ったものがあります。
合奏でトライしてみるのも楽しいですよ。

もちろんクラシックも!ガンバ・コンソートで貴族気分!?

ガンバ・コンソートで昔の教会音楽の演奏ー滅多にできないことです。
合奏こそヴィオラ・ダ・ガンバの真骨頂と思っていますが、気分的には貴族になったような気分になれるかもしれません。
豊かな倍音で、自分自身の癒しともなります。

音工房〇でのちょっと変わったヴィオラ・ダ・ガンバの学び

グループレッスン

・コース当日だけ楽器をレンタルして合奏を楽しむお気軽なプラン「気軽にガンバるヴィオラ・ダ・ガンバ合奏会
・個別、および合奏レッスン(要楽器orレンタル。レンタル費別、グループで6,000円〜)
がございます。
※現在参加メンバーを募集しております。ご参加を希望される方が一定数集まれば開催いたします。

よくあるご質問

楽器買わなきゃだめ? / 楽器、高そう

音工房〇の中で楽器をレンタルするだけであれば、レンタル費込みで単発で弾けるプラン「気軽にガンバる合奏回」もございます。
また、しっかり家でも練習し、学びたいという方には、篠山市の古楽器職人、平山照秋さんの楽器のレンタル(おおよそ月5,000円〜)を取り次ぐことも可能です。

なお、購入は中古楽器の輸入(非常に少ないです)、中国製のクオリティが一定以上の楽器、日本の職人さんの楽器と、必要とご予算に応じて一緒に検討することが可能です。

子どもサイズの楽器はあるの?

ヴィオラ・ダ・ガンバには、リコーダーのようにいろいろなサイズがあります。
一番小型で高い音が出る「トレブル」であれば、子どもたちも弾けるサイズになります。背が伸びてきたら、テナー、バスなどの大きな楽器も弾けるようになります。

どのサイズの楽器を買えばいいの?(大人)

一般的に演奏される機会が多く、ソロの作品も多いのは「バス」サイズになります。
「テナー」も歌との相性が良いと感じています。

興味はあるけど、続くか不安

アトリエ内で合奏のみを楽しむ「気軽にガンバるヴィオラ・ダ・ガンバ合奏会」もございます。(月3,000円〜)。
※現在参加メンバーを募集しております。ご参加を希望される方が一定数集まれば開催いたします。
継続してご参加いただければ、「音あそびタイム」(2,000円)で自主練していただくことも可能です。

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